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特集「将来を担う、介護職の人材育成」

2021-03-31

 

 厚生労働省では、2025年に向け、介護人材を量と質の両面から確保するため、国と地域が二人三脚で、「参入促進」「資質の向上」「労働環境・処遇の改善」を進めるための対策に総合的・計画的に取り組むこととしています。

 秋田県では介護職員の確保・定着を目指し、平成29年度から「介護サービス事業所認証評価制度」を導入しています。県が設けた4分野の評価項目(介護の仕事の魅力発信、人材のキャリアアップと育成支援、職場環境の整備と両立支援、地域交流とコンプライアンス)において、評価基準を満たした法人が「認証」を受けられるというものです。ここでは「人材のキャリアアップと育成支援」について詳しく掘り下げていきます。

 

○新規採用者の育成計画の策定と実施

 新規採用者は新卒、中途採用を問わず「何をどのようにすればよいのか」全くわからない状態です。新規採用者を育成するには、まずは順序立てて効果的かつ安定的に育成する必要があるため、育成計画を立案します。

 どれぐらいの期間で、何をできるようになるべきか。

 それを達成するために「いつ」「誰が」「どのように」指導するか。

 育成計画は、本人がどのように仕事をできるようになるべきかを示すものであり、育成担当者にとって指導の目安になります。新規採用者の育成担当者は、単に仕事を教えるだけではなく、仕事の楽しさややりがいを伝え、職員の定着を促進する大切な役割を担います。職員全体に育成計画を周知することで、事業所全体に新規採用者を育成する風土が醸成されることも期待できます。

 

○キャリアパスの導入と、キャリアに応じた人材育成計画の策定・実施

 「キャリアパス」とは、職業経歴上の道筋の事を示します。キャリアパスを導入する目的は、階層別における職場での役割や業務内容を明確にし、職員自身に将来の姿を示していくことにあります。キャリアのコースを検討し階層ごとに役割や業務内容を明文化、その後キャリアアップの要件の設定、といった流れでキャリアパスを構築し、運用していきます。

 キャリアパスで階層ごとの役割や業務内容を明確にした後は、それを職員が実際に実践できるように育成する仕組みが必要になってきます。キャリアに応じた人材育成計画を策定することは計画的、かつ効果的に職員を育成していくことが可能になり、ひいては、組織力の向上にもつながります。

 

○実際の取り組みについて

 介護サービスを提供するにあたって自分の能力の質を保証するものとしてキャリアアップの客観的な指標となる「介護福祉士」や「ケアマネジャー」など、資格の取得を支援する仕組みも職員のキャリアアップを進めるためには大切です。県内の「介護サービス事業所認証評価制度」認証事業所は実際にどのように人材育成に取り組んでいるのでしょうか。

 

 医療法人正観会では、認証取得に向けた活動をきっかけに、人材育成計画の見直しを図ったことで、病院と在宅部門の育成計画がより一体のものになったと感じているとのこと。キャリアパスに必要な研修など、法人全体で連携しより合理的な取り組みが可能となっています。職員それぞれの立場や希望する職務に到達するための必要な経験・スキルが明確化されることで、職員各々が意欲を持って日々の業務に務めることができ、それが自ずとスキルアップへ繋がっていきます。

 

 社会福祉法人大仙ふくし会では職員のキャリアアップを応援する面談制度の充実を図っていくにあたって、県で実施しているセミナーに面談者となる法人全施設の施設長や事務長が参加しました。セミナー参加をきっかけに面談技術はもちろん、職員のキャリアを応援する面談そのものへの理解が深まり、キャリアパスや人材育成計画など職員への取組の促進に繋がりました。

 また、新規採用者の育成計画の見直しにあたっては、各施設の声や実際の指導内容を集約し協議する機会を設けたことで、職員の理解度が増し、より充実した育成計画を作成することにつながりました。

 

 医療法人正和会・社会福祉法人正和会では認証取得にあたって、面談する側も面談される側も納得できる面談制度の実現を目指しました。面談される職員は、評価項目にそった自己評価と半年前にたてた目標の結果、そして、これから半年間の目標を面談シートに記入し、面談する管理職へ提出します。管理職は同じシート上に同じ評価項目で職員を評価し、職員の自己評価と管理職の評価の違いを職員に対して説明します。この際に、管理職は、職員に対して説明した内容、職員から聞き取った内容、職員の要望、新たに気づいたことなどを面談シートに記入します。すべてを記入後、職員に面談シートを確認してもらい双方の押印で面談が終了となります。面談では、職員も管理職に対して発言でき、面談シートの内容が実際の面談の内容と違う場合は、ハンコを押す必要はありません。管理職は、事実に基づいて説明をし、職員が目標を失わないように必要なスキルや優れている点などについてフィードバックします。

 

 県内では着々と進む高齢化によって介護サービスを必要とする方が増加しています。

 介護サービスを提供する介護職員の確保は、今後ますます重要になってくる課題の1つといえるでしょう。

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